gallerybauhaus

伊藤進哉写真展
「The Celts・風の王国」


伊藤進哉写真

                        ©Shinya Ito

会 期 / 2009年5月7日(木)〜6月30日(火)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

鶴岡真弓ギャラリートーク

写真展に合わせて、鶴岡真弓のギャラリー・トークを開催致します。
多摩美術大学教授でケルト協会顧問の鶴岡氏は、処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)で日本におけるケルトブームの火付け役となりました。
ケルト関係の著書を多数出版、龍村仁監督のドキュメンタリー映画「地球交響曲第一番」ではアイルランドの歌姫エンヤとの共演で話題となりました。
アイルランド・ダブリン大学トリニティ・カレッジに留学経験のある鶴岡氏に、アイルランドやケルトの魅力についてたっぷりと語っていただく一夜です。

鶴岡真弓 Official Web Site 「鶴岡真弓の本と講座NEWS」

日 時 / 2009年5月29日(金) 19:00〜(当日は18:00閉廊)
参加費 / 2000円
mailもしくはお電話にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。
*スタッフより予約確認のmailを送らせて頂きます。

終了致しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

*お客様の個人情報を漏洩・流出させたり不正に利用したりしないよう、厳正な管理を実施しております。

内容紹介


写真家・伊藤進哉がケルトの残映を追い、4×5インチの大型カメラでアイルランドを撮影したモノクローム作品(ゼラチン・シルバー・プリントにトーニング)、約40点を展示。


The Celts・風の王国によせて
                                                                                                                   伊藤進哉

  霧雨だった雨は、少しずつ音をたてて私のジャケットへ落ちてきた。低く垂れ込めた黒い雲は、その厳かな雰囲気を演出するには十分だった。
  神聖なる石柱を囲んだ私たちは白髪の長老の合図で手をつなぎ、そして歌った。祈りながら手編みの籠を廻し、石柱の傍らの焚き火に香を入れ、その火でつけた煙管を廻した。長老の呪文は濡れた大地へ吸収され、そして消えていった。

  草原の中の小高い丘の上に、その石柱はある。それは日本人には想像できないほど崇高なケルトの象徴となっている。タラの丘は、ケルト人が初めてこの地を支配し小国を築いた地として、政治的にも精神的にも重要かつ神聖な場所とされ、現在でもケルトの末裔がこの地を訪れて先祖に祈りを捧げるのである。

  儀式が終わり、私は日本から来たことをみんなに告げた。参列者はスコットランドやイギリスから来た人々だった。みな東の果てから来た私を快く迎えてくれた。いつのまにか雨は止んで、西の空の雲間には明るい青空が広がっていた。
  私は、ダブリンに近いこの地を旅の最終訪問地にしようと考えていた。この地が特別に目を引く場所というわけではないのだが、必ず訪れなければならない場所だと思っていた。ケルトの起源。この島を育ててきた歴史の起源がそこにあるかもしれない、と感じていたからだ。
  柔らかな風が私を包み、風に運ばれてきた懐かしい香りを身体で感じた。なぜかその香りは、土と草の匂いに違いないと思った。

作家プロフィール


伊藤進哉(イトウシンヤ) 1964年 福島生まれ

日本大学芸術学部写真学科在学中に、アンセル・アダムスのオリジナルプリントを見て、衝撃を受ける。
1989年に卒業後、広告写真のスタジオに入社。広告写真を手がけながら、自身の作品は徐々に大型カメラで撮影したモノクロームに絞り込まれてゆく。同時に技術的重要性を感じ、ゾーンシステムを学ぶ。
1997年、退社と同時に渡英。ロンドンを拠点にヨーロッパを撮影すると同時に、アイルランドの「ケルト」をテーマとした作品制作を開始。現在に至る。

主な展覧会


2009  「Ireland -聖なる島へ-」 新宿ニコンサロン
        「The Celt・風の王国」 gallery bauhaus
2010  「The Collection II」 出展 gallery bauhaus