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横谷宣写真展
「黙想録」


横谷宣写真

                          ©Sen Yokotani

会 期 / 2009年1月7日(水)〜2月28日(土)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

横谷宣×飯沢耕太郎対談

写真展に合わせて、横谷宣と飯沢耕太郎の対談を行います。
日 時 / 2009年1月16日(金) 19:00〜(当日は18:00閉廊)
参加費 / 2,000円
mailもしくはお電話にて要予約。 mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。
*スタッフより予約確認のmailを送らせて頂きます。

終了致しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

*お客様の個人情報を漏洩・流出させたり不正に利用したりしないよう、厳正な管理を実施しております。

横谷宣と語る会

横谷宣×飯沢耕太郎対談へのたくさんのご参加、誠にありがとうございました。
「もっと横谷さんのお話が聞きたい!」という皆さまのご要望にお応えして、作家と語る会を開催致します。

日 時 / 2009年2月14日(土) 18:00〜(当日は17:00閉廊)
聞き手 / 田中真知(作家・翻訳家)
参加費 / 2,000円
mailもしくはお電話にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。
*スタッフより予約確認のmailを送らせて頂きます。

終了致しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

*お客様の個人情報を漏洩・流出させたり不正に利用したりしないよう、厳正な管理を実施しております。

内容紹介


広告やエディトリアルの仕事を経験した後、写真家・横谷宣が旅した東西ヨーロッパ、南米、インド、エジプト、アフリカ、ロシア、中東、中国。行く先は難民キャンプや戦場、砂漠や雪山、地の果てのような修道院など。
報道写真か、それとも自身の作品制作なのか。そんな葛藤を抱えつつ、世界を旅した横谷の魂の記録。
モノクローム作品(ゼラチン・シルバー・プリントにカルバミド調色)、40数点を展示。


魂のリアリズム――横谷さんの写真に寄せて
                                                                                                                  飯沢耕太郎

  旅行作家の田中真知さんから、横谷宣さんの写真を初めて見せられた時、戸惑いとともにこれはただ者ではないと感じた。ぼんやりと画面全体に霧がかかったソフトフォーカスの風景や人物は、ぼくにとってはとても懐かしい思い出を誘うものである。というのは、もう30年も前、大学院時代の研究テーマが19世紀末の「ピクトリアリズム(絵画主義)」の時代の写真で、こういう作品を山のように見ていたからだ。なぜ21世紀の現在、こんな古くさいスタイルの写真を作っている人がいるのか、それがまず不思議だった。
  ところが横谷さんの写真アルバムのページをめくっていくうちに、まったく別の思いが湧き上がってきた。たしかに見かけはオールド・ファッションだが、この写真家は19世紀のピクトリアル・フォトグラファーとはむしろ真逆のものをめざしているのではないかということだ。そこに浮かび上がってくる光景は、あたかも「絵」のように見えて、そうではない。むしろ網膜に映る外界のイメージではなく、魂に直接刻印された世界のリアリティを、彼は求め続けているのではないかという確信めいた思いである。
  横谷さんがなぜこんな写真を撮影し、プリントしはじめたのか。おそらく彼に聞いてもその答えは簡単には返ってこないだろう。だが、その長い旅の途中で何か強い促しがあり、何者かに導かれるように進んできたことだけは想像がつく。この寡黙な作家の作品が多くの人の目に触れるのは、今回のギャラリーバウハウスでの個展が最初の機会になる。おそらく目が洗われるような不思議な視覚的体験が、あなたを待っているはずだ。

                                                                                 (いいざわ こうたろう 写真評論家)


濃密な旅の果実
                                                                                                                     田中真知

  横谷さんと会ったのはエジプトの首都カイロ下町の安宿だった。アジア、アフリカ、中東、南米を渡り歩き、難民キャンプ、戦場、遺跡から 病院までさまざまな場所を、自作のレンズをつけたニコンFEを携えて旅をしていた彼に、ぼくは、どんな写真を撮るのですかと、ありきたりな質問をした。彼は、なんていっていいんでしょう、といって困ったように笑った。ただ、彼がとつとつと語る旅の話を聞きながら、彼が撮ろうとしているのが報道写真でも観光写真でもない、なにかとらえどころのないリアリティらしいことは直感された。
  それからおよそ10年後、初めて彼のオリジナル・プリントを目にしたとき、ああ、こういうものを彼は見ていたのかと思った。なんていっていいのでしょうという言葉どおり、それはいっさいの説明や象徴化をしりぞけ、見る者をひたすらに深い沈思へといざなう写真だった。これらを旅の写真と呼ぶのは意味のないことかもしれない。ここに表現されているのは旅に出る以前から、彼の中に沈んでいた風景かもしれないし、それがどこであり、何なのかも重要ではないかもしれないからだ。それでも、これらの作品がかたちをとるには、多年にわたる彼の旅の歩みが必要とされたのはまちがいない。静謐でありながらも、内に秘めた深い力を感じさせ、魂を純化されるような彼の作品をまとめて見られる機会ができて心から嬉しく思う。

                                                                                          (たなか まち 作家・翻訳家)

作家プロフィール


横谷宣(ヨコタニセン) 1961年 岡山生まれ

カメラの無い家に育つ。
5〜8歳   隣家の彫刻家から絵画を習う。
10歳      玩具屋の店頭で栗の実ほどの小さなカメラを見つけ、「それほんまに写るんでえ」という店員の
            言葉で写真に興味を持つ。数年分の十円貯金でCANONETを買った。
中学1年  理科の先生に現像法を習う。
中学2年  肉屋の息子が不要になった引伸機をくれた。押入れ暗室でプリントを始める。
高校1年  岡山県一周徒歩旅行。その後も長期休暇のたびに徒歩と野宿の旅行をした。
大学1年  四畳半一間を暗室にし、そこに住んでいた。東京から富士山頂まで歩いて登る。
1984      武蔵野美術大学中退後、スタジオマンとして2年間、フリーアシスタントとして3年間、多数のカメ
            ラマンのアシスタントを務める。
            後輩と一軒家をシェアして3畳ではあるが、初めて暗室専用の部屋を持った。
            この頃、100本以上のレンズをバラバラにした自作レンズで作品制作を開始。
1988      ロンドンロケが現地解散となり、バスに乗ってモロッコの砂漠の村まで行った。この時、自分が持
            っていた価値観の無意味さに気付く。
            その後、広告や雑誌の撮影を手掛けるが、間も無くパリの新聞“OVNI”の貸部屋情報を見て突
            然渡仏。
1990      パリに暗室を作る。三角形の屋根裏部屋だった。
            ボヤケた写真では仕事が無く、生活のために普通の写真を撮るべきかと悩む。
            報道なのか風景なのかと国連の食糧トラックに乗って難民キャンプを渡り歩いたり、砂漠や雪山
            を歩いて越えたり、遺跡で何夜も野宿したりした。
            東西ヨーロッパ、南米、インド、アフリカ、遺跡や鉱山、工場、戦場と闇雲に旅行した結果、まとも
            に生活する生き方をあきらめ、旅と写真の道を選ぶ。
1993      パリからエジプト、中東、ロシア、中国を経て帰国するがすぐに中国、東南アジア、インド、中東、
            エジプトへと逆戻り。
1996      知人から一軒家を借り暗室を作る。家ごと全部暗室だった。
1997      カンボジア、ベトナム、ラオスあたりを旅行。
2000      借りていた家を退去し、暗室がなくなる。
2004      京都に移住。
2007      再び岡山に移住。
2008      築50年のアパートに引越し、暗室を作り写真活動を再開する。

主な展覧会


2009  「黙想録」 gallery bauhaus
2010  「The Collection II」 出展 gallery bauhaus