gallerybauhaus

井津建郎写真展
SEDUCTION OF PEAR   洋梨の誘惑


井津建郎写真
                 ©Kenro Izu

会 期 / 2017年2月1(水)〜2017年3月25日(土)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

*作家在廊日:2/3(金)午後・2/4(土)終日・2/10(金)16:00〜

内容紹介

ニューヨーク生活で出会った洋梨に魅せられた作者が8×10と14×20インチの大型カメラを使って撮影して、古典技法のプラチナ・プリントで仕上げた写真展。
夕暮れ時の窓際で洋梨と対話しながら、その魅惑的なフォルムに対峙する作者の視点をご覧ください。
1990年秋から撮り始めたテーマですが、20年数年ぶりに再び撮影に挑んだ作品です。

モノクローム(プラチナ・プリント)作品約30点を展示。

*同時開催「スペイ・サイド」(一階展示室)
スコットランドへ石造遺跡の撮影に訪れた際に出会ったスペイ川。シングルモルト・ウィスキーの蒸留所を抱えた魅惑的な釣り場へ8×10と14×20インチの大型カメラを持参して、釣りをしながら撮影した作品。
モノクローム(プラチナ・プリント)作品、約15点を展示

井津建郎写真
                     ©Kenro Izu


【ギャラリー・トーク】
井津建郎と語る会

井津氏を囲んで展示作品の制作過程やアメリカでの生活等について楽しく語る会です。

日  時 / 2017年2月4日(土) 19:00〜 (当日は18:00閉廊、18:30より受付開始)
参加費 / ¥2000

終了いたしました。たくさんのご参加ありがとうございました。

mailもしくはお電話にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。
後日、スタッフより予約確認のmailをお送りさせて頂きます。

*お客様の個人情報を漏洩・流出させたり不正に利用したりしないよう、厳正な管理を実施しております。

本展は<井津建郎里帰り特別展>につき、 展示作品(限定1部)に限り、スペシャル・プライスで販売させて頂きます。 お得なこの機会にぜひ井津作品をお求めくださいませ。

作品価格
洋梨の誘惑   定価¥200,000→¥120,000(+税)〜
スペイ・サイド 定価¥150,000→¥100,000(+税)

*次回エディションからは定価販売となります。




SEDUCTION OF PEAR 洋梨の誘惑

井津建郎
洋梨の誘惑

初めて洋梨の存在を知ったのはニューヨークへ来てから数年経った頃だった。
和梨の形としゃりっとした食感とは全く異質な、人体を想像させる形、そしてクリーミーな食感はやっと米国の生活に慣れたと思い始めたその頃、改めての異国体験だった。
果物好きな私はフルーツ・スタンドで数日ごとに朝食用の果物を買うが、洋梨のあの形と色に惹かれて我が家では秋から冬の常連である。

洋梨にも数種類あり、アンジュー、ボスク、バートレットといった大ぶりの梨、小振りだが繊細な色と形のセックル、コミス、フォレレ、特に私が気に入っているのはドイツ語で『鱒』を意味するフォレレ梨である。その名の由来通りブラウン鱒のように斑点の一部がワイン色の緑の身体に散りばめられ、その繊細な曲線で形取られた洋梨は味覚のみならず視覚を誘惑する。
初めて洋梨を作品の素材として撮影を始めたのは1990年秋だったと思う。
そして2016年に再び洋梨の撮影にとりかかった。
スピリットが姿を顕すという夕暮れ時、気に入った洋梨にカメラを向けての密やかな対話は異次元に誘い込まれるような魅惑の時間であった。


スペイ・サイド

鱒釣りとともに鮭釣りも私の40年来の趣味である。フライフィッシングと言う、毛針を使っての川や湖での釣りである。
スコットランドへ石造遺跡の撮影に訪れた時、スコットランドで出会ったスペイ川は、その流域に遺跡のみならず数多くのシングル・モルトウィスキーの蒸留所を抱えた魅惑的な釣り場であった。
だが流域ほとんどが私有地であるスペイ川では好きな場所に車を停めて川に入ることはできない。時折遠くに見える釣り人が優美にスペイ・キャストをしている様子を羨ましく見るだけだった。

ロンドンの画廊が私の作品を扱い始めて数年、その画廊のオーナーが釣り人で、しかもスペイ川の一部の釣りの権利を持つ人だと知った時は、なんという運命の巡り合わせだろう、と狂喜したものである。
そしてある年の春、彼の所有する釣り小屋(寝室が10室あっても『小屋』というらしい)へ1週間の釣りに招待された。この素晴らしいギフトのお礼に、と思って8x10のカメラを持参して、釣りの合間に撮影したのがこの小品、スペイ・サイドである。
夜毎の釣りの自慢話の友はスペイ・サイドのシングル・モルトウィスキーのマグナム瓶”OBAN”であったことは言うまでもない。

OBANの香りを楽しみながら釣った魚、逃した魚に想いを馳せる深夜、とうとう自分も開高健大兄が言うところのアームチェア・フィシャーマンになったのかと、ふと思う。


作家プロフィール


井津建郎(いづ けんろう)

1949年、大阪生まれ。20歳で写真家を目指し渡米。1974年にニューヨークに Kenro Izu Studioを設立。1979年、初めてエジプトを訪れ、それ以来大型カメラでヨーロッパ、中東、アジア各地の聖地を撮影、古典技法のプラチナ・プリントで作品制作を行っている。
1993年に訪れたカンボジア・アンコール遺跡群に感銘を受け、写真家としての活動の傍ら、1996年NPO「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー」を設立。1999年に「アンコール小児病院」、2015年にはラオスに「ラオ・フレンズ小児病院」を創設して現在も運営に携わっている。  アメリカ・グッゲンハイム・フェローシップをはじめ、数々の奨学金を受賞。2007年には、写真界のアカデミー賞と言われる「ルーシー・アワード」のヴィジョナリー賞を受賞。

Official Web Site http://www.kenroizu.com/


SEDUCTION OF PEAR
Kenro Izu Photo Exhibition
February 1,2017-March 25,2017

gallery bauhaus
2-19-14 Sotokanda, Chiyodaku, Tokyo, Japan
Access map
About 6 minutes walk from Ochanomizu station (JR line/Tokyo Metro Marunouchi line).